阿佐ヶ谷どうでしょう。

阿佐ヶ谷のディープな飲み屋~88箇所を巡ります。


角打ち処「裏の部屋」


センセイのコメント

ドータのコメント


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 38軒目。

 南阿佐谷の蕎麦「道心」を出てパールセンター商店街に抜けると、正面つまり東側に「三矢酒店」がある。一種に凝るというのではなく、ビールやら日本酒やらワインやら、賑やかに取りそろえている酒屋だ。

 その店先をみやると、箱詰めたワインや派手なショッキング・ピンクのポップの裏手になにやら気になる文字が見える。なになに、

「角打ち処「裏の部屋」」?

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 角打ちといえば、酒屋に併設された立ち飲み場所。最近では立ち飲みがブームだが、阿佐ヶ谷駅スターロードには「阿佐立ち」という何ともな店名の店もあり、いつも満員の客で賑わっている。

 しかし立ち飲みの本格派といえばやはり、酒屋の「角打ち」だろう。

 「角打ち」とは、酒屋の店内に併設された立ち飲み(スペース)を言う。もっぱら、北九州と関東で使われた言葉であるらしい(関西では「立ち飲み」が標準)。

 私は去年、神戸の工場地帯を取材していて、密集住宅の角角に立派な看板の酒屋を見つけて驚いたことがある。いまは閉店の店が多いが、かつては労働者の楽しみといえば仕事帰りの銭湯と立ち飲みであったことが偲ばれた。実際、その店のおかみさんに尋ねると、ほんとの10年前まで、早朝と夕方の二度、シフトで工場労働者が入れ替わる時間帯は、押すな押すなの満員で、片方の肩をねじ込んで飲むほどの大流行だったという。

 しかし今はと言えば、チャージなしでゆったり飲めるこぎれいなバーが阿佐ヶ谷を席巻している。松山通りの『青二才』にしたって、最低500円でカウンターに座れるではないか。そんなご時世にどんな飲み方ができるのか、楽しみではある。

 「道心」に行った面子から女性一人が抜けて、私、ドータ、ジュンのカップル、それにもう一人女性の5人です。

 三矢酒店に入店、レジ脇にはこんなラインナップが貼ってある。

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 うーむ。コップ酒とはいいながら、300~450円で銘酒がずらり並んでいる。ただいま口を切ったのがこれだけあります、ということか。

 戦前から世紀末まで栄えた「角打ち」文化は、「なけなしのカネで飲みたい」という酒飲み大衆が顧客だった。でもこの店のは違う。というか、新機軸。高価な日本酒を多種、格安で飲めるという高級志向だからだ。この点が斬新。

 私は「黒松仙醸 どぶろく」をグラスに一升瓶から注いで貰い、レジ脇の狭い通路を伝って奥へ。手洗いのような処を抜けたら、物置の一角のようなところが仕切ってある。これが角打ち。

 ケースに座宅が載せてあるので、その前に立つ。

 店を外から回っても行けて、外から見たらこんな具合。テレビが上にあり、先客の飲み助男性が4~5人でわいわいやっていた。

 そこにわれわれが乗り込んだら、3人のみ先客が残った。8人が入り交じって飲む。

 先客は互いに知り合いらしいが、一人が北千住の方でこれから帰るという。我々の連れの女性に、「一緒に帰ろう」とか口説き始めた。まあ、飛んで火に入る夏の虫ですかね?酔っ払いに女性連れで入ったらこうなるわな。

 ドータは酒屋の経営形態に興味が湧いたらしく、店主の元で話こんでいる。

 私が北千住の知り合いの話などしてみたら、少しひるんだようで、女性を3人で囲むのはやめてくれた。

 私は次は梅錦原酒をキャッシュと交換。懐かしい味。

 次第に、先客の酔っ払いの話題は選挙や政治に移った。私は、どうもこの手の話は苦手である。真面目に仕事でやるのは好きなんだけどね。仕事の続きをやっているみたいだからかな。真面目に喋る気にはならん。しかしこんなワイワイ感がここの醍醐味なのだろう。そう感じながら、退散するとしよう。

 外に向けて開いてるからクーラーは効いていないが、倉庫で飲んでいるようで、これもまた楽し。狭いが、お仲間とご一緒でいかが。先客にちょっかいだされても平気な方は、日本酒ラインナップが楽しめます。

本日の生 大500円~ 小300円~
ワイン 250円~(100ml)
その他、店内輸入ビールはプラス50円、ボトルは100円プラスで飲めるそうです。

つまみもおでん(350)、漬け物(150)などあり。

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(センセイ) 

僕はお酒が好きだ。

これはもう、どうしようもない事実で
お酒も、お酒を造っている人も、お酒を売っている人も
一升瓶の形も、それぞれの蔵元さんがそれぞれ意図して貼っているであろうエチケットも、もう全部ひっくるめて大好きなのだ

なので僕の周りの親しい人間は知っているのだが、僕は酒屋さんに行くと、長い、とにかく長い。

一般の人にとってはただお酒を買いに行くところでしかないかもしれないが
僕にとって酒屋さんとは、美術館であり、水族館であり、博物館なのだ


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音楽を大好きな人が、レコードショップに行くと一枚一枚を吟味するように、僕も酒屋さんに行くと、一本一本の瓶を見てその作り手や味わいに想いを馳せる

一緒に行った人は、すぐさま飽きてしまうがそんなのお構いなしだ
僕にとって酒屋はそうそう単純に上辺だけを見て流せない場所なのだ



角打ち(かくうち)
こんな素敵な文化があることを知ったのは、もう10年以上前だが、実際に体験したのはここ2年前ぐらいの話である

角打ちについては先生がきっと書いて下さっているであろうと思うので勝手に省かせてしまうが、先にも書いたように、僕にとって酒屋とは展示系のどんなエンターテインメントよりも楽しい場所で、そして、どんなそこでレジャーよりも楽しい【お酒を飲む】事ができる、ある意味、個人的には究極の飲み屋形態と言っていいだろうと思う。

そんな場所が灯台下暗しがごとく阿佐ヶ谷にオープンしていたのだ。

三ツ矢酒店

酒屋マニアの僕も当然この酒屋さんには、何度か来た事があるが、こんなことになっているとは想像だにしなかった

レジカウンターの上にペタペタとその日飲めるお酒の種類と値段が貼られ、そこから選びお店の方に伝えると、冷蔵庫からお酒を取り出しグラスになみなみと注いでくれる

酒屋さんゆえに1杯の単価がものすごく安い。


子どもの頃をふと思い出した
ポテトチップスの、うす塩もコンソメも食べたいと思ったが、お小遣いがそこまで無く、どちらか一つしか買うことができなかった

がそこに同じような気持ちの友達が居た場合
僕はうす塩を買い、友達はコンソメ味を買って
二つ同時に開け、お互い食べあった


長年、飲食業界の畑に居るが
飲食店の原点は結局これに行き着くような気がしている

例えばカレーを作ろうとした場合
スーパーでそれぞれの食材を買って作ると
一人前ちょうどが出来上がることはまずない

ゼロからやろうと思った場合、色々なものが必要になる

その色々なものを揃えたり、手間を掛けたり、そういったリスクの代償として適正な代金を頂くのだ

この時期鮮度の良い鰹を食べたいし鯒(こち)や鱧(はも)なんかも食べたいけど、一人でそれぞれを丸々一尾は食べきれないから、それを上手い具合に分配してくれるお寿司屋さんに僕らは行くのだ


閑話休題

酒屋さんにおいて、いつもいつも
『あぁ、このお酒飲みたいなぁ』と思っていても
一升瓶で二本、三本は処理しきれないだろうと思い

結果、見て終わる、もしくは選びに選んだものを一本だけ買って帰る

ようなものだったのだが、この角打ちというシステムを始めた三ツ矢さんではそんな悩みも不要

飲みたいお酒を飲むことができる量で酒屋さん価格で売ってくれるのだ。







ここ入って行っちゃっていいの!!?
と思うような、見事なまでのバックスペースの裏通路を通り
行った先には、長テーブルと、メーカーズマークの大きな樽が置いてありそこで立って飲む。
おそらく倉庫だったに違いないそこは、どーんとシャッターが開いており目の前には小道一本挟んでブランコと砂場ぐらいの手のひらサイズのような公園がある。

まぁ、お洒落な言い方をすればオープンエアのパークビューだ。

お酒は背徳感で旨くなると言うが、本来はありえないような酒屋の倉庫で、本当に目と鼻の先ほどの目の前を仕事で疲れた帰宅者がたまに通りかかる

たちが悪いがこれがまた、お酒の味を加速させるのだ。



ある意味、飲食専門でやっている僕らが全く敵わない

そして、酒屋大好きな僕からしたら色々な楽しみ方の可能性がどんどんと湧き出てくるような、そんなクリエイティブな飲み屋さんをまた見つけてしまったか、と思いながら次へと向かうのでした。



ちなみに、この翌日、なかなか面白いラインナップだったので、さっそく個人的にお酒を買いに行かせていただきました。

(ドータ 30代飲食店経営)


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