阿佐ヶ谷どうでしょう。

阿佐ヶ谷のディープな飲み屋~88箇所を巡ります。


青二才(移動)


センセイのコメント

くぼつ夫妻/こんちゃん/Jちゃんのコメント


46軒目。

阿佐ヶ谷で創業し、じきに人気店になり、支店を設けて移動する・・。そんな店が何例かある。

Birdlandもそうだ。創業者の和田さんは西荻窪で焼き鳥屋の店長を務め、「マーケットが大きいのに技術レベルが高くない」という落差に気づく。そこで阿佐ヶ谷にBirdlandを開店、フレンチや和食の技術を投入して、焼き鳥屋というより奥久慈シャモの高級鶏料理店という一つのジャンルを開拓した。

現在は銀座の寿司「次郎」を慕って隣に移動、丸ビルにも支店を開いている。こういうビジネスの構想がある店は強い(現在の阿佐ヶ谷Birdlandはお弟子さんの暖簾分け店)。

次に阿佐ヶ谷発で支店を他地域に持ちつつある飲食店が『青二才』だ。駅北口パサージュを抜け、なか卯の角を松山通りに入る。坂を降りた右に、その1号店がある。

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入りにくい店の一ジャンルに、若者が騒いでいる店がある。しかも常連が多そうな店。排他的で仲間内で騒いでいるとなると、入店しても邪険にされたらせっかくの酒が不快になるだけではないか。

それでもいつも満杯であるとか店員が矢鱈に元気がよいとか、ドアが開放されているとついつい気になってしまう。阿佐ヶ谷の「青二才」はそうした典型。

では一体何が売りの店か。ワタシは創業以来8年もつきあっているがそれがよく分からない。赤ワイン梅酒やらパイナップル半分の生ハイやらメニューは無数にあるが、それだけでビジネスモデルになるというのでもない。

しかしそれにもかかわらず毎日来る客がおり、その連続記録が80日連続になったりする。まるで部活の部室みたい。ワタシが奥の座敷に座っているとそうした若い衆が次から次と乾杯しにきてくれる。牢名主みたいな扱いである。だからここの売りは、モノというよりも、客も含めたヒトの馴染みやすさなのだと思い至った。

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(このロミさんは入りたての頃はいつも怖い顔をして緊張していたが、最近ではこんな剽軽な素顔も見せたりしている)

とすると、客も店側も、「排他的でない」ことが青二才の特徴ということになる。「常連が多いのに排他的でない」というのは、語義矛盾ではある。それを実現しているのがここのビジネスなのだろう。

と書くと難しげだが、要はワタシも若者に混じって騒いでいるということ。そして何年か前にハヤトとここで出会い、まあ酒ばかり食らっているのもナニだから、88カ所巡りをしようと相成った。それが当サイトである。青二才で決めたことだが青二才の売り上げには貢献しない企画。そこで敬意を表し、88カ所のゴールインは当店とすることを決めてスタートした。

ところがその後、互いに本業が互いに忙しくなり、ハヤトは関西に移住。最近は戻ってきているが、この企画はやっと中間地点を曲がったところ。そうこうするうちに、阿佐ヶ谷青二才の店舗が老朽化で、2015年12月31日をもって閉店することになってしまった。

我らはまだ88カ所巡りの道半ば。それで、閉店までの半年間、急遽、掲載することにしたのでした。

さてワタシが初めて当店をみかけたのは、8年前の夏だった。住まいの近くの商店街を散歩していて、新装開店してる当店に出会った。大きく扉を開き、20歳代らしい男が二人手招きする。「何か食べ物はありますか」と訊ねると、やけに愛想がよく「メニューにない品も当店の優秀なスタッフが作ります、ラーメンでもチャーハンでも」とすかさず返してくる。なかなか面白い若者だと入店したのだった。

メニューを見ると、いきなりこう書かれていた。

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二人は二階建ての一軒を借り、仲間とバーカウンターだの映写機だの畳敷きの席だの内装一式を自作してしまった。野菜も有機栽培を実行している友人から仕入れており、メニュー内容はディスカッションで決め冊子も友人に作ってもらっており、何から何まで仲間内でやりくりしたらしい。二階はカフェ風になっていて、これだけ大きな店舗は飲み屋のごまんとある阿佐ヶ谷でも最大規模である。

「野心的だね」と感想を伝えると、「ええ、ゲーテの言葉に励まされましたので」と言う。そこで出てきたのが、「あなたにできること 出来ると夢見たことがあれば それを今すぐ始めなさい」という句に続く写真の言葉。

ワタシ自身は無粋なもので、言葉によって励まされたり自戒したりということが滅多にない。だから「寝るより楽はなかりけり」だの、「馬鹿は死ななきゃ直らない」だのしか思い浮かばない。後者は広沢虎造の「清水次郎長伝」、もしくは植木等のセリフである。

まあ五十も過ぎると、「前向き」さや「自戒」からはほど遠くて何が悪い、と開き直ってしまう。だが若者が前向きな言葉に励まされているのを見て、つい感銘を受けることはある。ワタシも物書きだけあって、いきなりゲーテと言われると惹きつけられるじゃないか。

自分が励まされた言葉を、客にも投げてくる。それがこの言葉だった。店と客の境目の曖昧さがこの店の秘密なのかとは思う。

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さて、店主の一方の神谷君は父上が書家だという。当人も書を学びに上京したのだが、バイトしているうちに天職はこちらかと感じ、岐阜で山間の大邸宅に住む父上に相談したそうな。そして資金もまったくなく、飲食のプロも避けるこの立地で創業することにした。その向こうみずを励ましてくれたのは現存する人よりもゲーテの言葉だったというのだ。

彼は企画のプロである。オモシロそうなことがあると、何でもイベントにしてしまうだけの技術がある。女性がうっかり「本日は誕生日」などとつぶやくと、気づいたらケーキが運び込まれ、店内の客全員がコーラスを始めてしまう。それくらい、客も当店の仕掛けを気に入っているのである。彼氏が当日の昼間に彼女の動画や好きな写真を渡しておけば、サプライズで彼女の動画が上映されたりするだろう。

もう1人のドータ君は、「ともに飲む」精神の権化である。もともとは井の頭公園に一升瓶を積んだリヤカーを引いていき、振る舞い酒をするうちに、三鷹のバーを休店時のみ借りるようになり、そこがあっという間に立錐の余地ない人気店になったので、高校の同級生の神谷君と阿佐ヶ谷で自分たちの店舗を持つことにしたとのこと。

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それにしてもドータ君の飲み方はハンパではない。妹と一緒に岐阜に帰郷する際、新幹線で缶ビールを30本も開けて窓の内側に立てて外が見えなくなったとか、とんでもないことを言う。いつも飲んでいるが、それでも飲み足りないのか休日は「日本酒の会」などに参加して、さらに知見を広げているというか、仕入れの調査を行っているという名目で酔っ払っている。

五年前だったかのクリスマスイブに店頭に「カップルお断り」の掲示を見て、ワタシは吹き出してしまった。カップル歓迎、は誰でも言える。しかしクリスマスイブにはさびしんぼこそ歓迎すべきではないか。というわけでまたたくまに各地に広がった「さびしんぼナイト」は、ここで発祥し、その日に出来上がったカップルの結婚第一号が「くぼつ夫妻」である。

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しかしトラブルも多く、深夜までばか騒ぎして幾度となく苦情が周辺住民から出た。

そこで周辺にお詫びも込めて始めた企画が「あそび計画」。阿(あ)佐ヶ谷を掃除(そ)してビール(び)を飲もう、というもの。

ここでも主役は客である。店の揃いのポロシャツを来て、毎月最終日曜日、松山商店街から北は早稲田通り、南は区役所まで清掃する。ゴミ挟み(トング)は、共鳴した渡辺金物店(北口アーケード)が提供、清掃後のビールは当店持ち(一樽相当で、「やらない善よりやる偽善」が合い言葉だという。

最近では苦情もなくなった。この企画、杉並区長賞まで受賞している。

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それで気づいたのだが、青二才のコンセプトに「人とのつながり」があるのはすでに述べた。それだけでなく、「街とのつながり」もある。「阿佐ヶ谷を掃除してビールを飲もう」と誘われてワタシも二度ほど青梅街道から早稲田通りまで掃除してみたが、ポイ捨て煙草の多いこと!煙草を道から拾うという体験は、なかなかできるもんじゃない。

またテキーラの乾杯で嬉しそうにしたりすると、駅の改札で待ち伏せ、青二才からチドリ足で戻ってきた客にテキーラを振る舞ったりする。「街を使ったサプライズ」といえばまるで寺山修司ではないか。

こうしたアイデアや、「常連が多いのに開かれている」といった経営方針に、ワタシはちょっとひっかかるものがあった。彼らは自然に振る舞っているのだが、それでこういう雰囲気が維持されるなんて、ありうるのだろうか?

そんな目で見ると、従業員はみな耳にインカムを装着し、なにやらつぶやいている。そこでワタシは神谷君、ドータ君に依頼することにした。ワタシの勤務先での授業で、「人をつなぐというサービス」をどうやって提供しているのか、その秘訣を講演してほしい、と。

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講演そのものは、実はBirdlandの和田さんにもやってもらったことがある。だから二件目だ。

そうしたところ、神谷君はpower pointや動画を使い、見事に組織運営のコツを披露してくれた。企業秘密なんでここには書けないが、目からウロコが落ちた。

それでドータ君の番になった。そうしたら彼はいきなり、ネクタイをほどいて頭にハチマキしたのだ!学生たちはキョトンとしていた。やはり彼は天然である。

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そして阿佐ヶ谷青二才が快進撃を続けいつも満員立ち飲み状態となった頃に、中野駅南口に日本酒バー支店を開店。さらに神保町の巨大オシャレビジネスビルにこのたびご栄転となったのであった(竹橋と駿河台下の中間あたり)。それでも企画モノを仕掛けられる阿佐ヶ谷の店は愛おしいとのことで、将来的には継続も視野にはあるという。

こうして彼らが新たな旅立ちを目指す神保町の店舗にも数度顔を出したが、日本酒のメニューはドータがあちこちに顔を出しては集めてきたものとはいえ、銘柄が『こんな夜に』に『赤の作(ザク)』。後者はガンダムか?

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ワタシらの世代からすれば奇想天外なこれらの銘柄を探してくるのも彼らの人柄あってのことだろう。Birdlandの和田さんは、「次郎」でオバマが何貫食べたかテレビのインタビューで喋っていたが、青二才の経営二人組と阿佐ヶ谷残留組も、これからもとんでもない話題を提供してくれるに違いない。

(センセイ)

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阿佐ヶ谷駅の北口へ出て、旧中杉通りの住宅街をしばらく歩くと 黒い扉に丸い小窓がついた店があります。

正直ちょっと入りやすい雰囲気では ありません。
私も お店を見つけてから、三ヵ月ほど 怖くて入れませんでした。

ちょっと勇気を出して、扉を開けてみると元気なスタッフが とても気のきいた接客をしてくれるため、すぐに安心できます。

日替わりの定食 と ビール1杯 で 1,000円 と 一人暮らしには うれしいメニュー(通称「男飯」)もあります。

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もちろん他にも、本日のオススメ、定番の人気メニュー、豊富な種類のお酒が用意されています。

お気に入りのお酒を伝えれば、こっそりお店に置いてくれるかもしれません。

一人で来ているお客さんが多いため、隣の席に座った方と 仲良くなれることもあります。

先生とお会い出来たのも、多くの友人が出来たのも、このお店のおかげです。

あと私の場合、妻と出会った場所でも あります。数年前のクリスマスイブに行われていた「さびしんぼナイト」というイベントがきっかけでした。

カップル入店禁止で、“さびしんぼ”が集まりクリスマスを忘れるといった内容です。お店で出会った友人たちと クリスマスを忘れるために飲んでいた記憶はあります。

そこから共通の友人を通して、妻と知り合い、仲良くなり、結婚しました。なぜこうなったのか 自分でも よく分かりません。

私にとって、とても思い入れの強いお店なのですが残念なことに建物の老朽化が理由で、2015/12/31に 現在の青二才 阿佐ヶ谷店は 閉じられます。

その反面 中野店、神保町店 と新店舗も増えています。 場所は変わっても 私は応援し続けます 。

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まだ、阿佐ヶ谷店に 来店したことのない方へ

2015/12/31 に 閉じてしまう前に、騙されたと思って 一度 来店して頂けないでしょうか。もしかしたら、気の合う友人ができるかもしれませんし、よい思い出が残るかもしれません。

・ひとりで
勇気を出して扉を開けて、カウンターに座って日替わり定食 と ビールを注文してみてはいかがでしょうか。
スタッフ や 隣の方に 話しかけてみるのも よいかもしれません。

・カップルで
サプライズのイベントが得意なお店です。
相手には内緒で誕生日や記念日のサプライズをスタッフに相談してみてはいかがでしょうか。

・多くの仲間で
2Fは、広く まったりできます。ソファーが いくつか置いてありついつい長居してしまいます。
貸し切りもできるので、仲間とゆっくり飲んでみてはいかがでしょうか。

中野店、神保町店と それぞれ お店の雰囲気は違います。
どの店舗でも 元気なスタッフがとても気のきいた接客をしてくれますのでその日の気分で、店舗を変えるのもよいかもしれません。

最後に。

「人と人との中継点でありたい」、このお店を創った道太さん、神谷さんの想い通りのお店です。この街に多くの友人と一生の思い出を作ってくれた青二才には心から感謝しています。

足を向けては寝られません。

ここまで読んで頂き、有難うございました。
青二才で お会いしたら、ぜひ乾杯しましょう。

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(くぼつ夫妻、30代会社員)




こんちゃんです。

今回は青二才とのこと、阿佐ヶ谷の友達の大半がこのお店で知り合った方々です。センセイと知り合ったのもこのお店。
12月に閉店してしまうのでその前に記事を書かせていただきます。

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青二才は神谷さんと道太さんという岐阜の高校時代からの同級生二人が始めたお店。

店長のしんやさんは二人の後輩です。

金曜日をのぞく平日には「おとこ飯」というセットがあり、日替わりのおかずとご飯とみそ汁、それにドリンク一杯で千円なんです。
それ目当てのお客さんも結構いるんじゃないかな、結局その後も飲んじゃうんだけど。

各種のお酒を取り揃えているのですが最近は日本酒の品揃えが充実していて、品目ではなく量で値段が決まってるのがありがたい。

ここ数年、常連は紅茶ハイ率が非常に高い。紅茶ハイに使う紅茶はルピシアの紅茶をブレンドして毎日店舗で淹れているのだそうで、ほかのお店の紅茶ハイとは香りが違います。

友達と会いたいときにはお店を覗いて紅茶ハイを飲みながらおしゃべりをするのがたのしいのです。

テキーラのショットが無料なのも特徴です。気分が盛り上がって来たら乾杯するのも良いと思います。

本名とは少しもかぶらない「こんちゃん」という名前、このお店で名付けられました。

約八年前阿佐ヶ谷に来て半年すぎた頃、駅からの帰り道に新しくオープンしたのが青二才でした。

オープン時、入り口扉の丸窓は時が経つごとに入りにくくなると思ったのでオープン二日目に入ったんです。

その日かその次の日、当時のスタッフと「そういえば名前聞いてないよね?」という話になったとき、

「なんか近藤さんぽいからこんちゃんね!」と名乗るより先につけられたあだ名がそのまま阿佐ヶ谷でのあだ名になりました。

「こんちゃん」になってからはこのお店に毎週のように通いました。
今いろいろなお店に行けるのもいろいろなお酒を飲めるようになったのも、人見知りがマシになったのも性格と体が丸くなったのもそのときに青二才があったから。そこに集まる人やスタッフがいたからです。

つい先日、私が少々暗かった時代を知っている大学時代の友人をつれて初めて青二才に行ったのですが、彼らに「こんちゃんがいま楽しそうにしてるのはこのお店のおかげなんだね、良いお店に出会えたね」と言われました。

その言葉が今も通っている理由を物語っているような気もします。

みんな人懐こくて もしかしたら それが合わない人もいるかもしれない。 常連感が強くて気が引ける人もいるかもしれない。でも、人と話したいという気持ちや少しの勇気があったら楽しめる良いお店だと思います。

実際常連と言われる感じの人もみんな最初は一人で入店してる人が多いです。

もし興味がわいたら一杯飲むだけでも良いので、何度かお店に行ってみてください。

(こんちゃん30代会社員、ベーシスト)





私にとって「入りにくい」と言われるお店には、理由がある。高そうな雰囲気だとか、店内が全く見えない、逆に店内が明るくて丸見えなお店。私が7年前に阿佐ヶ谷に引っ越してきた時、入ってみたいけれども躊躇してしまうお店が青二才であった。

阿佐ヶ谷駅北口を出て、人の流れに乗ると旧中杉通りを自然と歩くことになる。下り坂を過ぎて住宅街に差し掛かった辺り、静かになったと思いきや一際賑やかなお店が青二才である。

引っ越してきた当初、阿佐ヶ谷らしくないそのお洒落な丸窓に興味を引かれたが、入る切欠が見つからなかった。そう、新宿で飲んだ帰り、我が家に泊まる友人と酔った勢いで扉を開けたのが、引っ越して1週間目の時だった。ほろ酔いの女二人、しかも12時過ぎである。

店の中はカウンターに数名、席に一組と比較的落ち着いた状態であった。通された席は奥の小上がりになった6人ほどの座敷。私はバーボンを頼み、久しぶりの友人との会話を楽しんでいた。その後お会計も済み、さあ帰ろうかと言う時にカウンターに居た一人客の男性が話し掛けてきたのである。

「今日、俺誕生日なんだよね。一杯ずつ奢るから、乾杯しようぜ」

初めての東京、初めての阿佐ヶ谷、そして知らないお店と知らないお客。東京ってこういう感じなのかと衝撃的だった。

また行ってみようと思った理由は、もう思い出せない。店長と言う男性の笑顔が良かったのか、奥に通された後の程よい距離感なのか、誕生日だという客との会話なのか。理由は分からない。

そこから1週間だろうか、私は店に通った。平日の早い時間、カウンターの端に座り2杯飲み、21時前には帰る。だから、青二才という店が騒がしいだとかいう情報も知らずに通っていたのである。

同じ時間帯に店に来て同じタイミングで帰る常連と話すようになった頃、初めて会うスタッフに話しかけられた。

「Jさんですよね、○○と言います。このお酒で良いですか?」初めて会うのに名前も知られ、好みの酒も知られているのに驚いた。そして、益々気になる店となったのである。

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青二才は常連客が多くて入りにくそうだ、と耳にすることがある。しかし、元は一人客の集まりである。飲物付き1000円の定食目当てで通い始めたかもしれないし、扉が開放されていたから入りやすかったのかもしれない。

最初から常連しかいないお店というのはないはずだ。初めて来た客がその店を気に入り、何回か通って常連気分になり、そのうち周りから常連と言われるようになる。常連とは、そうやって作られていくものではないだろうか。

初めて一人で来た客に店員が話しかけ、頃合いを見て常連が話しかけ、最後には乾杯をして帰っていく姿を阿佐ヶ谷の飲み屋ではよく目にする。そして同じ店で再び会い、古参の客がその新しい客を馴染みの客に紹介し、その輪が広がっていく。その光景は、客すらもさながらスタッフのようである。

私が初めて丸窓のある扉を開けてから、7年近くが過ぎた。センセイと出逢い、K夫妻と出逢い、17年ぶりの友人と再会し、旅立つ人を見送り、そして早すぎる別れもあった。

いつもそこに灯りを灯し、誰でも受け入れるその店は、私にとって阿佐ヶ谷以外で飲んだ帰りにリセットをするために寄る店という立ち位置なのかもしれない。もちろん、それぞれの思いは違うだろう。

その思いを背負った店が2015年度末をもって閉店する。しかしながら、青二才は青二才というスタンスを持ったまま続いていって貰いたいと切に願う。

そして願わくば、これを読んだ貴方が、今まで入るのを躊躇していた店の扉を開き、新しい出逢いを見つけようと思っていただければ、嬉しくて私は小躍りしてしまうだろう!

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(Jちゃん30代会社員)


Shop Information


店名: 青二才(阿佐谷店)

電話: 03-6750-8231

住所: 東京都杉並区阿佐谷北1-34-5

18:00~27:00

Web: http://www.aonisai.jp/


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