阿佐ヶ谷駅北口を左折、突き当たって右折、すぐ左折したあたりがスターロード。その突き当たりの一角は、去年から新開店が続いている。今回のお目当ては、二階にビアバーSTONEがぶち抜いて営業している木造建物。隣は怪しくも狭い寿司屋で、かつて台湾料理の名店「のっぺ」があった店舗が「ビストロ 猫の髭」。窓が大きく切ってあり、賑わっていて気になる。いわゆる「入りにくい」店というのでもないが、このあたりは常連が多い印象がある。21軒目です。
ハヤトの後任、今回は主婦にしてニコニコ動画ミュージカル作家のKKさん(31歳、お決まりなもんで、すまぬ)。「イタリアンでもどう?」と電話したら表参道での観劇から帰る途中だけど来てくれるという。
KKさん登場まで一人で一杯やろうと入ってみる。「のっぺ」は薄暗く狭かったが、黒一色だった店内は全体にペンキで塗り替えてあり、カウンターは白。壁の緑色は、小津の戦後のカラー映画に出てくるアパートやバーみたい。明朗な色に塗り替えたせいか意外に広いな。大きな鏡があるのも広く見える理由か。
コの字形のカウンターは、10人は座れる。あと、二人用の卓が二つ。先客が帰ったばかりだったので他にはカップルのみ。こざっぱりとセンスのいい置物が散らしてある。瓶にペンギン、洋書とか。ヨーロッパビールの小瓶に葉っぱが一輪挿し。カフェみたいだな。音楽はボサノバ。
ご夫婦とおぼしき二人で切り盛りしている。ご主人は頭巾みたいに藍色の布頭に巻き、ご婦人がサービス。
さて、まずはビールと頼むと、これはモルツのみ。ヨーロッパビールの濃いやつはあまり食事に合わないので、それで十分と注文します。前菜は650~850円だけど、三点盛り合わせだと1200円とお得ということで、「ドライトマトのキッシュ」、「ラタトゥユ」、「鶏白レバー」にしてみる。メニューはコースではなく、魚は入荷次第で日替わりになるとか。
三点盛り、登場。パテがでかいな!!5cm3cm3cmはあるぞ。まるで立方体。カリカリのパンに載せる。キッシュもコクがある。ラタトゥユも野菜の筋がいい具合に残っている。ズッキーニ、タマネギ、黄ピーマンといったところ。これはビールが進むぞ。
しかしよくメニューを見ると、トリッパとかがない。あ、そうか。イタリアンじゃなくてフレンチのビストロ?
調理中のご主人、「フレンチなんですけど、夏場は弱いんで、アクアパッツアなんかやってるし・・」とのこと。まあ、曖昧ってことですね。伊仏曖昧っていうとたいがい「パスタもあるフレンチ」になりそうだが、当店はパスタはなし。一線は守ってるわけですね。
というところでKさん登場。旦那のメガネ君は仕事の激務で来る気にならなかったらしい。というわけで若き人妻と二人でお食事と相成ったのですが、まあ、よく食べるわ、このスリムな人妻。
「ん~、『高知 西岡さんのトマトとオリーブのサラダ』(1100円)とぉ、『いさきのアクアパッツァ』(1600円)とぉ、あと、『三方原の馬鈴薯のピューレ』(650円)も」。
サラダはトマトの四つ切りがたくさんと、白と黒のオリーブ。馬鈴薯のピューレは、ご主人が布から両手で絞り出し、バーナーで表面を焦がしている。白い馬鈴薯のうずまきの中心にサーモンが薔薇の花びらみたいに載せてある。
「センセイ、この燻製サーモン美味しいよ」。とKさんが言うので、私も一枚。あ、これは見た目と違う。燻製臭が口に広がり、なるほどうまい。馬鈴薯の方はさらさらしている。妖しい旨さ。そうか、どこかに妖しさがある店をワタシは求めているんだな、と納得。
グラスワインの白をお願いする。アルゼンチン産。
イサキのアクアパッツアは、はまぐりとムール貝がてんこもり。KKさんがチャキチャキと取り分けてくれる。「お腹にローズマリーが一杯入ってるよ」。バクバク喰う女や、とは思ったが、意外と親切だな、若妻。オリーブも多く入ってて、魚臭さが消えてる。
「中央線が好きで、阿佐ヶ谷でやりたかったから、最初からコースはなしと思った」とご主人。なるほど、この「濃い」一角の特性を知りつつ、さらに個性を打ち出せている。小体だが、まだまだ食べていないものがある。使い勝手のいい店が、また一軒増えた。
(センセイ)
後日、再訪。本日のグラスはLogan weemala Riesling 2011
という、電線に鳥が止まっている画のラベル。かわいく、うまい。Australia産でした。
お初にお目に掛かります。
KKです。"呑まない人"担当として参加します(^^)
猫の髭はフランス料理が食べられて、気軽に入れる飲み処。中央に厨房、シェフを囲んでカウンターがコの字の珍しい配置。2人用の小さなテーブル席も2つある。手書きの黒板にメニュー。1シェフ店にしてはなかなかの数。
我々が頂いたメニューはコチラ↓
・キッシュ(タマネギとドライトマト)、パテ(鶏レバー?)、ラタトゥユの三種盛
り on 四角大皿
・バケット
・オリーブとトマトのサラダ on 楕円皿
・静岡の三方原馬鈴薯のピューレ on 正円皿
・イサキのアクアパッツァ on 楕円皿
・洋なしの赤ワイン煮のバニラアイス添え
前菜、どれも美味しく頂く。
酒は分からないけど、料理にこだわりのある店だと分かります。
ラタトゥユはあっさり。トマトトマトしてないし、オリーブオイルでベタベタもしていない。ナスは皮がむかれて、焼きナスのおひたしみたいな感じ。珍しいですね。
オリーブとトマトのサラダは少々疑問。オリーブは黒いのと黄緑のが二種あって、バジルの刻んだのがトマトに映えて皿全体の見栄えが大変良い。オリーブがアクセントになっていて、これが美味しい!トマトはオリーブを引き立てるためのものだったのかもしれないですね。
もっと言えば、このメニューはワインのためのサラダだったのかも。
一方、次に頼んだジャガイモの料理は、酒がなくてもこの皿は完成されていて、呑まない人にも嬉しいメニュー。
お・い・し・い!!!
綺麗な白のピューレの中央にスモークサーモン2切れで薔薇を作り、バーナーで対象位置に焼きが入る。
うつくしい。そして、おいしい。
主人はジャガイモの味に自信があるようだけど、サーモンの方も注目の美味しさ。嫌みのない燻製の風味、味も歯ごたえも良いんです。
本日一番の皿でした。
さて、お次はイサキのアクアパッツァ。メニューの名前に注目すると、ここに来て急にイタリア?と疑問。しかし、味はフランスでした。
一般的なブイヤベースの味付けに似る。
・・・で、
ドライトマトがこれでもかと入って、これが少々くどいかな。きっとお酒のための味なんでしょう。
魚に自信があるというより、アクアパッツァを出したいんだっていう気持ちが強いのかも。
確かに、ワインの店で魚一匹食べられたら、それだけでとてもいい気分。
最後にデザート、洋なしのワイン煮を頂きました。洋なしの形はまん丸。まるで桃。今の季節なら桃を出すのが妥当なラインではないかしらん?
まあ、そういうことでしょうね。
と言うわけで、フルで料理を堪能してしまいました。スターロードのレポなのに、まるでフレンチレストランのグルメレポじゃないですか。
センセイはグラスワインを何杯か頼んでいて、サングリアも召し上がっていた。ワインメニューをしっかり見なかったのが悔やまれますが、そちらも凝っていたのかしらん?
猫の髭は、気軽に呑める所だけど、料理もしっかり出してくれる嬉しいお店です。一番重要なのは「呑まなくても肩身が狭くならないこと」!!
次に来るときはグリルを注文します!
(KK)
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