57軒目。中杉通りを北上して北6丁目までの中ほど。セイジョー薬局を越えてそろばん教室に向かって歩くと、毎夜赤く照らし出された看板が見えてくる(最近、黄色い看板に替わった)。
ポポット。横に長いカウンターのみ7席(プラス補助席)のうなぎの寝床バーである。
以前の店はガラス戸が透けており、飲食中に外部から目視されるといたたまれなくなるワタシは入りにくかった。しかしここは上半身が道路からは見えない。だから入りやすい。しかもこの通りは、白鷺方面に向かう道としては女性にも安心できるくらい明るい。
それでも入りにくいとすれば、横一列の並びなので、全員で同じ話題を喋らなきゃいけないんじゃね?と先入観が働くところか。
しかしご安心あれ。『ポポット』はうなぎ犬風の画がポップな手作り外装、それを「夜カフェ」と謳いながらもバー、バーなのに「モヒートは作りたくない」と言い、まぐろの煮付けが旨かったり、2人以上はお断りだったり、それでも紹介があれはOKだったり、店のルールを尋ねると「店内恋愛禁止」とすかさず返ってくる、謎の店だ。
しかしこのうなぎみたいに掴みきれない店の唯一と言っていい特徴が、客が別の客に必要以上に絡まないよう、絶妙の空気感を店主が確保してくれる点なのである。
店主は阿佐ヶ谷がモデルの漫画『どくだみ荘』の主人公をイケメンにしてお洒落ハットをかぶらせたようなアダチ君。その仕切りを好んでだろうか、ここには若い女性の一人客、それもメガネ女子がやたらと多い。
しかも彼女らはワタシのような怪しいオヤジにも臆せず話しかけてくれたりする。古谷実の『サルチネス』に登場する中丸愛に似ているアリちゃんともワタシはここで知り合った。なんか、漫画のキャラばかりだな。
距離感というのは、格闘技もそうだが、人間社会のキモであろう。直接に肌が擦れ合うと摩擦が起きる。しかし誰ともすれ違わないのは淋しい。だから距離感を保って袖すり合いたい。そんな紳士淑女の深夜の社交場がポポットである。
周年のイベントを打たないうちに一周年を経過させてしまったほどポーッとして見えるアダチ君は、それでいて病気でもしない限り年中無休の働き者である。元旦にも季節感なく営業しているのをワタシは目撃した。
ポーッとしたい女子は立ち寄ってみて下さい。タイ風カレーも美味しいので。
それにしても、「ポポット」って何の意味?
(センセイ)
越川をあとにして向かう先は「ポポット」。
阿佐ヶ谷駅北口を出て中杉通りを5分ほど、「ここまで歩いて大丈夫か」と若干不安になるあたりで突如出現する店。「夜カフェ」とあるが、コーヒーを飲んでいる人を私は見たことがない。
そして何を隠そう、センセイと知り合った店なのである!!!懐かしい!!!
いつもなら店内に直行だが、今日は取材という事で改めて店の外観を眺めてみると、いつの間にか「2人以上お断り」の看板&スタンドが。おぉ、これは一見さんにとって敷居が高いのかどうなのか…。真っ先にこの件について尋ねてみようと思いつつ店内へ。
早い時間の訪問だったので、先客はなし。入るなり「取材ですよね?」と店主にニヤリとされる。お、早速ばれてら。確かに店外で撮影する私たちは完全に不審者だったと思われる。
レモンサワーを注文後、早速2人以上禁止の件について尋ねると、「禁止にすることのメリットデメリットあるかと思うが、長期的な視点で続けるつもり」とのお答え。確かに、どちらに転がるにせよ姿勢がコロコロ変わるのが一番良くないですもんね。
初めての方がその禁止事項を見ると(特に女性は)入店を躊躇してしまうかもしれないが、一度入ってしまえば大丈夫。店主の絶妙な距離感(決して踏み込みすぎず放置しすぎない感じ)が丁度心地よい。
あまり1人飲みをしない私が通っているのだから、そこは自信を持って言えます。実際、この日はたまたま男性客ばかりだったが、女性一人客に会う事の方が多い気がする。
ちなみに部内ならぬ店内恋愛禁止なので、そういった心配もご無用。仮に、そんな雰囲気に持ち込もうとする輩がいても、残念ながら周囲の与太話に妨害されるでしょう…
レモンサワーの後はセンセイおすすめのブランデーを。メニューはドリンク中心で、ビール・サワーから果実酒・リキュールなど色々ある。
メニューに無くても材料があれば作ってもらえるので聞いてみるのもおすすめ。昨夏は自家製モヒートが登場して、これが美味しかった(ちなみに自家製とはミント栽培からのガチのやつ)。
フードもあるが、あまり食べたことがない。というのも大抵どこかで飲んだ帰りに寄ることが多いからだ。
なんとなく飲み足りない、帰宅前に少し飲みたい、そんな時ポポットの看板の灯りが手招きしているように見えて、ついフラフラ吸い寄せられてしまうのです。
(30代 お酒大好き女性)
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