阿佐ヶ谷どうでしょう。

阿佐ヶ谷のディープな飲み屋~88箇所を巡ります。


Rock kitchen 1984


センセイのコメント

勝見のコメント


32軒目。

中央線の「ロック」といえば、カウンターカルチャー、もしくは反抗のイメージ。でなきゃ、ルーディーのように廃墟感。ましてここは一番街。かつては(本物の)ボッタクリ店が多かった時代もある、危険な匂いがする(もしくは、した)通りだ。

南口左のマグドナルドを入り、50mほど。右に階段がある。入り口隣は「89」「ヤク」って読ませるのかな?「ガンジャヤ」並に挑発的な店名だ。でも隣の二階が気になる。「1984」はいわずと知れたオーウェルの小説だが、悪夢のような光景が広がっているのか?

てなわけで、特殊漫画家あらため「パンク漫画家」の勝見華子を呼び出して、二階目指して階段を上がります。

ドアを開けると、カウンターが左右に広がる。思ったより広い、明るい空間が目に飛び込んできます。「く」の字のカウンターには先客が3人。
カウンター内にはLP用のターンテーブルが2機と、夫婦のような二人。男性は短髪、髭もきっちり刈って、きっちりした方みたい。

後ろにはブースみたいなのもあるが、怪物みたいなオブジェが鎮座。これが1984的ということか?うーん、悪夢というのとは違う、健全な雰囲気。

奥にはさらに2人席が5つ。その卓の空間は狭いように見えて、実は天井がずいぶん高い。そこにファンがゆるゆると空気をかき混ぜている。壁にはきっちりとLPのジャケットが7×6、42枚も整然と並んでる。ロック史の有名どころだ。

その奥まった卓につく。ジャニスみたいな巻き毛挑発モコモコの小柄な女性が注文取りに。うーん。ハイボールかな。華子もなんだったかカクテル。ワタシはしきりに観察する。清潔だな。ロックバーといえば、不潔というか、ゴミ・チリっぽいはずなんだが。

別の壁にはロックの画が額に入って飾ってある。これも整然。

カウンターで、巨大な謎の虫眼鏡みたいなのががくるくる回っている。謎のオブジェだ。

その脇でつっぷして寝てる60男がいる。ガバリと起きると、「バンヘイレンがぁ」とつぶやき、御代を置いて出て行った。

と、すかさず入店してきたのが同年輩の男。千客万来だなぁ。中高年ロック飲み屋ってことか?その席は、60代指定席なのか?しかし今度の客は、なかなかに背筋が延びているロックオヤジだ。さらにあとから入ってきたおばちゃんが話しかけて、談笑している。

ジャニスがかかっている。

なになに、メニュー裏を見ると、そもそも曜日によってかける趣向があるらしい。本日は「ロック・スタンダード」。火曜はサザン・ロック、木曜は日本のロック、金曜はハードロック、メタルといった具合。

「ソフィーとキャサリンの日」ってのもある。奥さんの源氏名がソフィーってことか。イベントに熱心である。というか、営業に熱意がある。中央線のロックというのが退廃的な印象を持つとすれば、それとはずいぶん異なる。ワタシが勝手に持っている一番街の印象ともズレている。

店内には、「ママさん手作りアクセサリー」も売っている。商売っ気があるというか、やる気に満ちているというか。

せっかくだからリクエストしてみよう。オールマン・ブラザーズのフィルモアイーストお願いしてみる。俺も古いな。「今日は自由にかけられますから」とあるじ。

メニューにはたくさん乗っていて、食べ物の最後には「インスタントラーメン300円、ネギくらいつけますよ」とある。黒板には、「イカナゴ釘煮300円」なんて珍しいのも。淡路島から送ってきたもの。

ロック世代も70年安保後にはネクタイ締めて社会に出たし、最近では引退も間近。昔悪くて改心、会社勤めましたが、昔をたまには懐かしみたいといった感じだろうか。

卓上のメニューにはベロの画がかかってる。STONES bar /suntory。なんだ、サントリーの提供か?大資本と提携してるってことか。 むやみに社会に突っかからないのは、ロックが社会で成熟したということなんだろうな。矢沢も大手のCMに出ているし。

水曜日は「産業系ロック」特集とある。商業主義への皮肉は健在か。ロックを青臭い批判の道具に留めず、資本主義に生活の基盤を据えつつも留保すべき他の視線としている、ということか。そんな感じがする。

一番街は安全に飲めますと、宣言しているかのようなお店と察した。70年代のロック屋は遠くなりにけり。

今度は歌謡曲の日に来てみようかな。

(センセイ)




























(30代女性・パンク漫画家)


Shop Information


店名:

電話: 03-3315-1984

住所: 杉並区阿佐谷南2-18-9 2F

20:00~26:00 (27:00)

Web:


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