阿佐ヶ谷の入りにくい店を訪ねて、50軒目。ついに大台なり。
料理人Yちゃんと、ハシゴしてます。
青梅街道の謎のウチには振られたので、Ⅰ番街はラブホを曲がり、旧orpheの角左折した一角。ここは昭和30年まではいわゆる青線地帯だったらしい。店舗も、2階の具合なんかは当時を偲ばせる。現在は、どこも個性ある店揃いだ。
それで、「ユープケッチャ」に入店。安部公房の短編の表題ですね。SF好きなのかな?
ここは何しろこんな風情で引き戸だから、まあ入りにくいですわな。
しかし私は以前あった「コモンスペース」の常連客であったので、入りにくいという感覚はない。オーナーが変わったのだが、前の店舗の折に行った大規模な(当店にしては)改装をそのまま居抜きで使っている。だから、前の店の「ヤス」の時代を知ってたりすると、女の子が変わっただけで、ほとんど何も変わらないとも言える。
カウンターのみ、6席。しかしギュウギュウに詰め込めばもっと入るみたい。
まあ、さらにその前のN嬢の時代なんかは、ワタシは最終に乗り遅れたゼミ生を連れて2階に上がり込み、トランプをやったり、N嬢が仕事終わりに「山路」に同行したいというので先にゼミ生たちと行っていたらN嬢は店で寝てしまってこなかったりと、いろいろ思い出はある。
しかもそのN嬢時代の強烈な思い出として、常連客がみなさん彼女への思いが強く、彼女とのみ会話をするので、N嬢と放射線状に会話の線が引かれて、客同士はほとんど会話をしないということがあった。中でも強烈なのが、店の口開けに仕事帰りで来て飲んで、店の終わりの朝6時に出勤前に来る方だった。その間は帰宅して就寝。1日に2度寄るのである。
しかし時は過ぎ、今回行ったユープケッチャは、ゆるーく和気藹々としている。N嬢時代のようなギスギス感はまったく感じられない。
まず、ぶた肉を炊いた付きだし。ワタシは白鷹の純米酒をいただく。
本日は水曜日の女性だそう。週の前半は日替わりで別の方が出ていて、後半は同じ人ということらしい。彼女も可愛いしハキハキと答えてくれるので、居心地よし。「でも、後半の人みたいにはお客さんはこないですよ~」と言うのだが、そうこうするうちに若い人とか、かっこいい男性がつぎつぎに入ってくる。平日だろ?
ついに満杯になってしまった。女の子に客がついてはいるみたいだが、それ以外の日にも来る様子。
ワタシは頼んだのがなかったんで、次はトリスのグラスでハイボールを注文。
常連客さんたちも、仲良く飲んでいる。
ゆるゆると時間が過ぎていく。
「そういえば、この曲は何?同じようなのがずっとかかっているけど」とワタシが尋ねると、「フィッシュマンズです」と。なるほどねぇ、この透明感というかけだるいというか。最近の日本映画みたいな空気感。この店に合ってるわ。
「オーナーがミュージシャンなんで」。
青線とはずいぶんかけ離れているが、この古い建物を壊さず生かそうとする感性がいい。右上がりに虚勢張ってアゲアゲな鬱陶しさがなくて。力が抜けていて、いいね。
(センセイ)
本日2件目の阿佐ヶ谷どうでしょう。でございます。
1件目のお店、やんたけさんを出てから2時間弱の時間が流れています。
その約2時間は、センセイと南阿佐ヶ谷、青梅街道周辺を練り歩き、気になっていたお店が閉店していたり、臨時休業していたり、しょうがないからよく分からない立呑屋をひやかしたり・・。
特筆すべきは閉店していたお店。
青梅街道沿いに普通のアパート。通りに面してむき出しにドアがあるあたりは全然普通じゃないんですけど、ご存知の方はいらっしゃいますか?
南阿佐ヶ谷から新高円寺に向かって右手にある、外壁が真っ黒に塗られたアパート風の建物です。ドアにカフェとかアトリエとかかいてある「もぐ」というお店。
とりあえず室内に灯りが点いていたので迷わずピンポン!警戒心全開の神経質そうな男性がドアを開けてくれました。
無邪気に「お邪魔してもいいですか?」と聞いてみたところ
「今はもうやってません」とのこと。
夜の10時も過ぎていたのでおとなしく引き下がりましたが、いろいろ質問したかったな。
「もうやってません」って、やってる時は何やってたの?
で、戻って参りました。
今度はスターロードとは逆の一番街です。マクドナルドの横の道を入ってホテルを右に曲がってすぐを左折した通り。
「ここが阿佐ヶ谷でいちばんディープな通りですよ」とセンセイ。
確かに。ディープです!
阿佐ヶ谷在住23年、べろんべろんに酔っ払ってた15年くらい前、誰かに連れられて並びのお店に入ったことがあったような、なかったような・・、その頃はワタシの方が怪しかったのかもしれません。
突き当たりから2件目のユープケッチャというお店に入ります。照明が妖しい、イカしたカウンターバーです。
あれあれ?
カウンターの籠に大量のノーチラスマッチを発見!
ノーチラスとはスターロードにあるバーです。オーナー夫妻(松崎さん)をちょっとだけ知ってるワタシは思わず「ノーチラスと関係あるんですか?」
すると、カウンターの中の可愛いママさんが「はい、2号店です」だって。
聞くところによると、年中無休で、曜日によってママがかわるんだとか。新宿のゴールデン街みたい。
今日のママは20代半ばかな?明るくはつらつとして、かなり好感が持てます。
続々と入ってくる若い男性客。
そうでしょ、そうよね。
センセイとワタシは姪っ子が心配で様子を見に来た親戚の叔父さん叔母さんという風情。
飲み始めて数時間、だんだん酔いもまわってきます。
食べるものはあるのかな?
かわきものくらいしかなさそうだな?
でも、そんなの関係ないよね。
男の子たちどんどん入ってきてるもん。
気がつけば満席。商売繁盛。
やるね、松崎夫妻!
勉強になりました!
(40代。ミュージシャン妻・料理人)
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