阿佐ヶ谷と高円寺の間、しかも商店街と住宅地の境あたり。河北病院の先の五叉路の手前である。そこに忽然と高級そうな和食屋が現れた。「互閃」。名前からして、なんだか経文みたい。暗がりなのに煌々と灯りがついている。懐石ぽくて、入りにくいぞ。
覗くと、ぱりっとした白衣の男性がひとりでまな板に向かっている。
というわけで、店頭に置いてあるメニューの紙を見る。コースで、割烹献立が6000円、煮麺割烹献立 5500円、酒肴献立だと3500円。意外とお高くない。というわけで、引き戸をひいてみる。
「く」の字の綺麗な白木のカウンターのみ。10席ほどか?物腰柔らかな主人は短髪だ。
六段の木箱があり、正面の壁に鶴亀の絡み合うオブジェがかかっている。まな板は長く一メートルはあるかな。調理場はカウンターの内側で丸見え。自信がないとやりにくい舞台だ。「本格派だ」と宣言している感じ。
どれどれと、ビールを注文。プレミアムモルツだ。私とハヤトは、せっかくだからと割烹献立をお願いする。
しばらくして飾り付けた綺麗なお盆が登場。赤ナマコの酢の物、氷魚は琵琶湖産アユの稚魚。ゼリーがかかっている。山口県のあんきもは、ソーセージ状に巻いてあったもの。濃厚だが、キモそのものじゃなく潰してあるから筋ばっていない。酒の肴にぴったりのスタートだ。
刺身は、寒ブリをづけにして、あぶったもの。味が濃い。富山のシメサバ、こちらもあぶらが乗っている。
たまらず日本酒をいただく。オススメを尋ねると長野の「水尾一味(いちあじ)」はどうですか、と言われる。素直に従おう。なかなかの辛口で、脂を流すのにはちょうど良いな。おちょこも凝っていて、コーヒーカップ型に取っ手が付いている。「九谷焼で、輸出用なんですよ」とご主人。
お椀はなんと、「まるすい」。熱々のすいもの、具はすっぽんだ。この値段で途中にすっぽんとは洒落ている。卵豆腐と灰色の甲の内側が何本も入っている。お~、温まるぜ。
煮野菜は、たけのこひめかわと、菜の花にゼラチンがかかったもの。
煮魚は、金目鯛に裏ごしした白子、空豆が添えてある。彩りが対照的で美しい。
牡蠣の塩辛、ホタテの塩辛と酒の肴も続く。
赤だしはシジミとほうれん草。酒で少し疲れた内臓にしみわたる。
最後に、嬉しいことに釜で炊いたご飯が出てきた。「魚沼のキクチさんのお米です」。しかしこうやって釜で炊かれると、キクチさんも嬉しいんじゃないかしら。柴漬けをぱりぱりやりながらお焦げがさっぱりして旨い。
デザートは、イチゴとブルーベリー。それに店主のお母様が作ったという20年もの(かどうか、それくらいだったような)の梅酒がかかっている。うーむ。これで二人1万5000円は安いよ。都心なら一人で一万は越えるな。
聞くと、ご主人は以前、高円寺で居酒屋に務めていたそう。懐石料理屋とかではないらしい。それでも志で勉強しておられる。入りにくいがオススメできることは間違いない、新顔にしてすでに名店だ。
(センセイ)
久しぶりの更新となってしまいました、阿佐ヶ谷どうでしょう。
お互いの都合が上手く合わない事やお誘いを断ってしまったりしているうちに、いつの間にか年は明けてました。ま、こうなる事も想定済みの阿佐ヶ谷88です。今後ともよろしくお願い致します。
さて、阿佐ヶ谷どうでしょうへ。
ここ最近阿佐ヶ谷では、割烹料理・お寿司・懐石料理などなかなかしっぽりとしたお店が増え始めているようです。そんなお店情報ちらほら聞きながら、センセイと集合。
久しぶりの活動再開にお互い戸惑いつつも向う先は
「互閃」
と言うお店。
阿佐ヶ谷駅から河北病院の方へ向う道に、もしくは正月お世話になった世尊院前の道を河北病院方面に向うと、途中セブンイレブンが見えてきます。このセブンイレブンの向かい側にある割烹料理だ。
割烹とは何か?
ググってくれたまえ。
さて、トントン拍子でここ迄来たのだが、今回は違う意味で入りにくかった。
「あれ、これ、俺行っていいのかな?」
と思うような雰囲気と、やはり店を回り慣れていない自分が露呈してしまったようだ。だが怯むわけにはいかぬ。
がらりと開けると、時間も時間だったので、我々二人だけだったので、もうクローズかなと思いましたが、お店の店長?が「大丈夫ですよ」とのお声掛けで中へ。
俺の見た目があれだったので、躊躇したのかも知れないがそれは見なかった事にしておこう。
席は厨房を囲むようにL字のカウンターのみで10席程。お一人で切り盛りされているのであろう、いわゆるオープンキッチンのスタイルです。
メニューは基本コースのみで、割烹献立6,000円、煮麺献立5,500円、丸鍋献立8,000円、酒肴献立3,500円とありました。二人ともまだ晩飯を食してはいなかったので、ここは割烹のコースをオーダー。そしてビールはプレミアムモルツの瓶で久しぶりの活動を乾杯。
プレミアムモルツって、瓶の方が何やら上手い気がするのは俺だけだろうか。
店内は我々しかいないので、静かに話が進み、その間お酒と共に食事を待つ。
こういう雰囲気はとても好きだ。
キリンラガーのCMに出れるんじゃ無いかと勘違いする。
そんなこんなでセンセイに近況を報告。
ひたすら阿佐ヶ谷どうでしょうの進行遅れについて言い訳をしていると、一品目が登場。
なんと言うお酒が美味しくなるような逸品の数々。
赤ナマコの酢の物、氷魚、あん肝。あん肝を食べてもいいかどうかは、知っている人の判断に任せよう。とにかく見栄えが綺麗で美味いのです。
舌鼓を打ちつつ、前を見ればご主人が丁寧に盛りつけ中。
そして食べ終えた後に絶妙なタイミングでシメ鯖と、寒ブリのあぶったお刺身が。ここでたまらずセンセイが日本酒へ手を出した。これにはもう、日本酒しかないだろう。
日本酒と刺身、しめさばが合う事合う事。
ふんいきだけでも最高なのに、日本酒がさらに旨味をますようだ。
そしてお椀。こちらはなんとすっぽんです。
そして煮物。なんと菜の花だが、この味のしみ込み方が絶妙。草花特有のうまみと苦みが程よく混じる。
煮魚の写真は・・・忘れたようだ。
牡蠣の塩辛
ホタテの塩辛
そして最後のお食事。
魚沼のキクチさんと言う方が丹誠込めて作ったお米の釜炊きと、大好きな赤出しとお漬け物。
このお米は、中々手に入る物ではなく本当にレアらしい。しかし、米・みそ汁・漬け物というのはかくも旨い物なのかと感動してしまった。3種の神食です。
おかわりしちゃいましたよ。。。センセイも。。。漬け物も。。。
あっという間夜も更けて、満腹状態。
これだけの体験ができるとは、最近の阿佐ヶ谷の変貌は中々面白い事になってきている。確かに一見高そうなイメージもあるので入りにくいかも知れないが、間違いなくおすすめ。お酒や食事を楽しみたい時、しっぽりと話したい時などかなりお勧めです。
また行きたいな〜。