久々に暇ができて懸案の「えいかつ」をアップできたのでホッとしていたら、アリちゃんがもう一軒つきあって下さることに。
では、と52軒目。駅北口ロータリーをスターロード側に入った「ロックインディア」へ。
何が入りにくいって、そもそもこう場所を指定してもどこにあるのかわかりにくい。地階、「stardust」のあったところです。
強烈なママだった益田さんが、20年以上も体内で同居していたガンで亡くなった。
あのボロくて地底感に満ちた70年代中央線の匂いが失われるのを目の当たりにするのが怖くて、その後は何度も足を踏み入れなかったが、暗い階段を降りるとそこには予想外の光景が広がっていた。
整理こそされたものの、あの地底感は健在だったのだ。
「ロックインディア」。ジャズとは謳っていないが、爆音でジャズをかけている。
先に到着していたアリちゃんを放置して(ゴメン)、つい益田さんの思い出話に耽ってしまった(詳細は「stardust」の項参照)。
「でも、よく誤解されるけど、継いだんじゃなくて、独立に契約したんですよ」と、新マスターは胸を張る。
どことなくお香の匂いが漂い、ビル・エバンスの映像が壁に映写されている。
突き出しも、ニンジンの塩麹漬けだろうか、ちゃんと作り込んである。不健康な前の店主ならやらなかったな。深夜でもコーヒーを飲め、なんて無茶も言わず、しっかりとお酒を飲ませます。
ずらりならんだボトルから、小生はラムをストレートで。旨い。
「浅川マキなら、全部ありますよ~」と嬉しいことを言ってくれるので、山下トリオがバックの「Ⅳ」を。「あたしの金曜日」に、「ドアを叩くのは誰」。深く浸みる声はまるで新しくなったこの店を歌うかのようだ。
そこに飲み屋さん祭りと勘違いしたお客さん登場。
「ウチはに入ってないけどね、いいですよ」。
聞くと、お客さんは南口で井戸のある家を借りてゲストハウスを経営しているという。民泊というのかな。「どくだみ荘」みたいなボロアパートが多かった阿佐ヶ谷も変わりつつある。やはり時は流れるのだ。
森田童子をかけてもらった。スピーカーも良くなっている。空気を割るかのように左右から音が回り、地底の夜は更けていった。
継承するものと刷新されたもの。中央線文化がここにありました。
(センセイ)
阿佐ヶ谷飲み屋さん祭りの夜。
もともと阿佐ヶ谷に多い酔客が今宵はさらに増殖しています。
そんな駅前の喧騒を抜け、向かう先は「ロックインディア」
スターロード入ってすぐの地下にお店がありますが、何度も前を通っているのに完全ノーマークでした。
センセイより一足先に着き、おそるおそる階段を下りると
男性が一人、ベースを弾きつつ陶酔しているご様子。
どうしよう…と躊躇していたところ演奏していた男性が突如「どうぞ!」とご案内。
あ、店主だったんですね。
過去には演奏に没頭して来客を10分放置したこともあるとか…待っててくれたお客さんがすごい。
レコード盤のメニューをしげしげと眺めて、まずはハイボールを。
センセイも到着なさって乾杯です。
お通しはニンジンの味噌和えとウズラの卵に、パテの乗ったバケット。予想以上に凝っていて嬉しくなります。
店内には大音量でジャズが流れ、壁には映像が投影されています。
ジャズは全くちんぷんかんぷんなためセンセイと店主の会話はほぼ理解できませんが、心地良い空間です。
開店して3年半、その前にあった「Stardust」という店はセンセイも店主も思い入れの強いジャズバーだったそうで、思い出話がつきません。本当に愛されていたお店だったんですね。
しかし、あくまでこちらはそのお店を継いだのではなく同じ場所・同じ業態の新規店。ココ大事です。
思い出話をしているうちに強烈なゲイバーに話は移行し、またもや阿佐ヶ谷の闇にそっと触れました。
と、そこに一人の男性客が。
聞けば飲み屋さん祭りのパンフレットを見て来たそうですが、今日こちら参加してません(笑)
が、せっかくなので特別飲み屋さん祭り開催!
私もなんとなく強いお酒が欲しくなり、普段飲まないラムを頂くことにします。
杯を重ね、気づけば森田童子の「ぼくたちの失敗」を聞くことに。
こんな大音量で「ぼくたちの失敗」を聞き、高校教師を思い出す日がくるなんて思いもしませんでした。
それにしてもこの間新規のお客さん来なくて良かった、完全に謎な店認定されるところでした。
完全に私の勝手なイメージですが、こういう阿佐ヶ谷らしい店が長く続くといいなと思います。阿佐ヶ谷はそういう街であって欲しいです。
ごちそうさまでした。
(30代、お酒大好き女性)