36軒目。
旧中杉通り(松山通り)を日大二高通り近くまで行ったあたりに、突如手打ち蕎麦屋が出現。
以前はネパール料理屋だった。アジア料理もやると謳っていて、トムヤンクン麺がうまかったりした。ところが3.11で従業員が全員帰国してしまい、どうなるのかと思ったら、居抜きで別のネパール人が継いで、ナマステとかサクラとかいろいろ名乗ったものの、最終的には駅北口のアーケードに店舗は引っ越したらしい。
で。
その「ネパール」っぽい外装は変わらず、蕎麦の打ち台が外から見える位置に出来て、暖簾が「薫屋」となった。「一茶庵」だの「砂場」だのと名乗らないので系列なのか、修業先も分からない。茶色のフェイク煉瓦の外壁が不思議なムード。
それで改装中から気になっていたが、いよいよ開店!!入り口外に、いろとりどりの蛍光マジックで品書きが書いてある。なになに、「おすすめ 天ぷら蕎麦(生粉打ち) 1750円」!?
これ、高値には人がなかなか寄りつかない阿佐ヶ谷としては、かなり強気の価格帯ではなかろうか。なにしろ阿佐ヶ谷といえば、ちょっと高値だと材料も問わず「ぼったくり」呼ばわりされる土地柄でもあるからね(お金持ちは黙して語らないらしい)。私も気圧されて、当日はパス。翌日行ってみた。やはり「1750円」となっている。
なんだかなぁ、と躊躇していたものの、気になったので翌日も行ってみる(実は仕事場の向かい)。あら、「おすすめ 天ぷらそば1600円」になったじゃないの。うん?
その後も観察を続けたら、一週間後には「せいろそば 700円」となった。
で、ジュンちゃんを誘い、息子とともに入店。
「いらっしゃいませ~」といなせな着こなしの女性が熱い蕎麦茶を持ってくる。
四人卓四つある。席の配置は蕎麦打ち台の部分にあったテイクアウト客向けの席がなくなっただけで同じだ。べたべた貼ってあったポスターがなくなってすっきりした。
「私、パリで蕎麦屋のバイトしたことがあるの」とジュン。こちらも得体の知れない話をする。
黒板にはバラでも揚げられる天ぷらがいろいろ書いてある。マイタケとか。日本酒もダッサイとか本格派なんで、飲ませる蕎麦屋ということか。サイドメニューもいろいろある。
天せいろ1500円とある。きこうちにすると1750円、つまり二八と生粉打ちで250円違うということらしい。
ワタシは生粉打ちせいろにしてみる。ジュンちゃんは鴨せいろの二八、息子はせいろの大盛りを注文。
奥で男性が作っている。若いんじゃないか?
出てきた。鴨、あたたかなつゆの匂い。一口もらうと、鴨に実に細やかな包丁が入っている。脂をしみ出させようという工夫だろう。甘い香りがする。焦げたネギもいい。
つゆは、濃い。かなり濃い。蕎麦はしっかりしていて、太さも均質。しかし、生粉と二八の違いは、あまりよく分からないがきりりとした食感で、かなり旨い。
蕎麦湯は濃い目で、熱い。これは温まっていい。天ぷらもとってみたが、ちょっと油の切れが浅いかな。
この女性が、薫さんだろうか?尋ねてみると、「いえ~、蕎麦が薫るようにつけました」とのこと。山梨出身なんだそうな。東京の老舗ではなく修行されたということだろうか。
総じて、一栄、すがわら、しのすけ、〇〇野、道心とライバルの多い激戦区に美味しい高級蕎麦屋がもう一軒できたという結論。
帰りにポイントのつくカードをもらった。でも、2000円以上の飲食の場合のみ該当するらしい。やはり高級店だ。疑似煉瓦っぽい外見と蛍光ペンが違和感あるけど。
(センセイ)
後日、近くのラーメン屋でランチしていたら、ガテン系の強面のお兄さんが「このあたりに日本そば屋ある?」って聞いていた。聞き耳を立てると主人は「へい、すぐそこに」に答えていた。
明日、行くということらしい。
人ごとながら、少々心配になった。値段でもめないか?薫屋。
ある晴れた日曜日に、センセイより以前からお声をかけていただいていた蕎麦屋へ行ってまいりました。「薫屋」さん。パサージュに移転したインドカレー屋さんの跡地にできた蕎麦屋さんですね。
できた時から気になっていたのです。なんだか良さ気な雰囲気が気になって、店の前を何度か通ったりもしていたのです。ただ、表看板に書いてあるオススメメニューが(個人的に)若干高く感じられ、オトナ向けのお店かと躊躇しておりました。
そんな折にセンセイからのお誘いです。センセイはオトナなのでスマートに入れるでしょうから、一緒なら安心です。
案の定、お店にはすんなり入店できました。店内は明るく、木の雰囲気を感じられる印象。少しコンパクトな蕎麦打ち台が表通りに向けて設置してあります。伺った日は、調理担当の方とフロア担当の方とお二人でされているようでした。ご夫婦なのかしら?
世間話をしながらメニューを拝見。うん、シンプルなメニューです。筆でさらりと書かれた手書きのメニューを見てみると、せいろ・おろし・鴨せいろ・天せいろといった定番ものから、とろろ・かしわせいろ等。天婦羅を個別に注文することもできるとのこと。
センセイ達はせいろとおろし蕎麦(共に十割)、私は少し涼しくなってきたのもあり、鴨せいろ(二八)を注文しました。
せいろに乗った私の蕎麦が鴨葱と共にやってきました。薬味として小皿にスライスしたネギも鎮座し、スタンバイ完了です。まずはレポーター風にお蕎麦を単独で食してみます。
ツルっといけます。私好みの麺の細さ、茹で加減も良いです。そして鴨を口に…!あ、鴨がちゃんとじっくり温かい。私の鴨が御座なりな扱いを受けていないのが伝わります。冷たいお蕎麦に温かい鴨と蕎麦汁、美味しいです。私の希望としては、山椒を出して欲しかったかな。蕎麦汁の味付けは、かなりしっかりしてると思います。食後の蕎麦湯がすすみました。
あ、気になるオトナなお値段ですが、700円から1500円くらい。十割にすると250円増しと、思っていたのと違いました。ビビり過ぎはいけませんね。ご馳走さまでした。お酒を呑み過ぎた週末のブランチにも良いかもしれません。
(30代、カラオケ隊員J)