阿佐ヶ谷どうでしょう。

阿佐ヶ谷のディープな飲み屋~88箇所を巡ります。

food and drink とらや


センセイのコメント

ユウキのコメント


25軒目。我々が阿佐ヶ谷巡礼を始めた最初期に伺ったのが「Orphe」。その経営者で「阿佐ヶ谷カレー化計画」の呼びかけ人でもあるサキコさんが急逝され、同店は閉店となった。まったく、佳人薄命ではある。

 しかし亡くなられる直前にワタシが高円寺の「アガルタ」でサキコさんのカレーを食べたおり、「Orpheは店舗が老朽化したので筋向かいの『めんそーれ』跡に移る」と聞いていた。
 

 さてその場所、つまり阿佐ヶ谷駅南口を左折、マクドナルドの角を入った「一番街」を進み、ラブホテルを右折、最初の角を左折した一帯に行ってみる。

 なるほど、「めんそーれ」の看板には煌々と灯りがついているのに、扉の横には「とらや」のプレートが。あれれ、「Orphe」じゃないの?

 開けると、男性がカウンターに座っていたが、立って迎えてくれる。なかなかに明るい店内。奥には座敷があって、ちゃぶだいみたいな卓が二つ。チューリップの怪しいライトがふたつ瞬いている。

 壁には昭和のおもちゃみたいなアンティーク。ヤンボーマーボー(古いなぁ)やべティ人形が。プレミアものだろうか?

 奥の壁には映画のポスター。「発情!OL」「小林あきら女の警察」とは、またマニアックだな。

 飲み物を頼み、男性と喋る。

 「サキコとは山口県の同級、こっちは僕がやるつもりだったんで」と彼。週5日、オルフェにいた女性たちが担当しているが、オルフェにすると寂しいから店名を変えたのだという。

 「僕ら、とら歳ですからね。もとはメキシコ料理屋で『サボテン酒場』にしようかと・・」と、相当にいい加減な命名らしい。

 でも、とらさんが持っていそうな皮の旅行鞄が奥に置いてあるし、映画のセットみたいなつくり。デタラメとマニアックさが同居としている。なかなか落ち着く雰囲気ではある。

 と、なかなかの美女が二人入ってきた。遅れて、「三丁目の夕日」の茶川みたいな高音の声の客が。そちらでマスターも加わりいかにも飲み屋の話題で盛り上がる。

 「何その財布、チーグー?グッチの財布~?」「初対面でも僕がどんな人か分かった~?」まるで合コンだ。

 Orpheもこんな気の置けない、しかしふと気づくとセンスの良い音楽(マイルスの「アガルタ」とか)がかかっていた店だった。前店の雰囲気は跡形もないが、これはこれで魂は受け継がれているんだろうな。
 

 それと前の店が暗かったのに比してここは明るい。それで女性が入りやすいのかもね。

(センセイ)

 

 阿佐谷に住んで3年と4カ月になるユウキです。引っ越して半年経った頃から一番街で遊んでます。仕事が終わるのが遅いので、夜遅くても開いている店が多いこのあたりに自然と足がむきます。

 最初、友達に一番街へ連れてきてもらった時はアヤシイ雰囲気だなと思ったけれど、馴れてくると遊びやすいですね。

 「とらや」のある場所は、一番街の一本裏手で、さらにナゾめいています。入口も昔のスナックみたいで、外から中の様子を見ることができないので、まあ、初めての人は入りづらいかな。

 「とらや」という看板の名前を見ても、どんな店なのかわかりません(マスターのケンさんが、寅年うまれなんです)。でも、安心して、コゲ茶色のドアを開けてください。

 開店してまだそんなに経っていないはずなんですけど、私はもう何度か来ています。なぜだか落ち着くんですよね。ケンさんとは気軽に話せるし、音楽のセンスもいい。この日かかっていたのは、「天才バカボン」の曲をボサノバでカバーして日本でも話題になったフランス人シンガーのクレモンティーヌでした。




 店内は、昭和レトロのおもちゃ箱みたい。懐かしいキャラクター人形がおいてあったり、天井から下がっている照明はチューリップ型だったり(あっ、これに似たのが母親の実家にある)。

 店の奥は三畳くらいのお座敷で、壁には古い日本映画のポスターが貼ってあります。昭和ポルノ映画に、寅さんシリーズも。畳の上には丸いちゃぶ台や、昭和レトロのテーブルが並んでいて、その上に置いた金魚鉢にはプラスティックの金魚が浮かんでいます。

 ケンさんはほかにも仕事があるので、週の半分以上は女性がお店をあけています。インテリアを担当したのは彼女です。

 いつも来るのは夜中に近い時間なので、飲みが中心です。ドリンク類はだいたい500円前後。この日、1杯目は生ビールを飲みました。ヒューガルデンです。いつもは豆乳ハイを飲むのだけれど、喉が渇いていたのでビールにしました。

 2杯目は、トウモロコシ茶ハイ。やさしい味です。ドリンクはひと通り揃っています。オススメ料理は、チリビーンズ(400円)。夕飯を食べそこねたので、夏野菜とチキンのナンプラー炒め(600円)を注文。憲さんが一生懸命作ってくれました。

 センセイとはこのお店で初めてお会いしました。「阿佐ヶ谷どうでしょう」をやっておられるということで、今回、わたしに「レポートして」とおっしゃったんです。こんなのでいいですか?

 「とらや」を出る時には、ドア手前、右側の壁に掛かっている絵をぜひ見てください。「寅さんに扮装した憲さん」のイラスト、必見です。

(28歳、ユウキさん)


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